きっかけはナマズとの出会い
犬の散歩中、いつものコースにある水路の水が無かったのです!翌日の河川清掃のために上流で水を止めたと思われます。水路の底には1cm位しか水が無く、24cmほどのナマズが1匹取り残されておりました。
さっそく家に連れ帰りまして、アクアポニックスで働いてもらおうと思ったわけです。
近所の水路が明日の河川清掃のためか、水なしに。逃げ遅れて底で大気にさらされていたナマズ確保!約24cm
うちのアクアポニックスで働いてもらいます。 pic.twitter.com/5UQ6T0BmWD
— ぼんちすとのアクアポニックス (@bonchist_vege) April 6, 2019
ぼんちすとはお魚鑑賞も趣味ですので、なるべく身近でナマズの姿を鑑賞出来るよう室内に水槽を設置し、ついでにアクアポニックスシステムに仕立てて野菜も栽培してやろう!
と目論見ました。
しかし場所がありません。玄関しか置く場所がありません。冬にミニトマトの屋内栽培を行った場所に設置する事にしました。
家の者Aは小姑か?! 実にうるさいヽ(`Д´)ノ
しかしこれから夏に向かいます。エコで明るいLEDライトを使用し、ヒーターも使わなければイケる、と判断し強行設置いたしました(笑)
システムの製作に取りかかる
60cm水槽の上に園芸用のラックをかぶせ、ひとつ上の段の棚に以前使用したことのある野菜ベッドを設置。過去に使用した用具だけを使うリサイクルです。今回は棚が軟弱なので、ジャリをたっぷり詰めた重い野菜ベッドは置きたくありません。底に少量のゼオライトを敷き、あとは水耕栽培と同じように溶液を循環させる仕組みにします。野菜ベッドの容器のフタに穴を開け、底をくり抜いた水耕栽培用のポットをセットします。そして購入しておいたサニーレタス、サンチュなどの苗(土は落す)を植え込みます。
照明は白色の普通のLEDライトと、ミニトマトの冬季栽培で使ったピンクの植物育成ライト1つです。まだ季節的に水温は高くないのでヒーターも入れ、20℃設定にしました。またもや玄関に妖しい光が復活です。4月13日システム完成です。
(何か変だなぁ~と思いつつもあまり深く考えませんでした)
水槽は井戸水と水耕栽培溶液(ハイポニカ)、1号機の飼育水を適当に混ぜて満たしました。
水質的には心配ないと思い、このまま2日ほど魚ナシで循環させました。
↑の記事で書きましたように、新しいシステムを立ち上げた際は初期は溶液中に植物の栄養となる硝酸態窒素はありませんが、そこに魚のフンやアンモニア、尿素のような要素が入ると、微生物の働きが始まって徐々に硝酸塩が生成されてゆきます。そのサイクルがだいたい3週間ほどかかるようですが、この玄関のシステムは井戸水(中性)と1号機の飼育水、ハイポニカ溶液の混合なので、3週間待たずとも大丈夫であろうと楽観し、2日後の15日にナマズとオイカワペアを投入しました。
水質の安定に手こずる
15日にナマズ、オイカワを投入した際のpHは7.4 EC 0.4でした。
ちょっとpH高いな、と思ったのですが、すぐ魚のフンでアンモニアが供給され1号機の溶液中のバクテリアも多少入っていることからpHは下がると思っていたのですが…
甘かった!
魚投入時の水質ですが、1号機から持ってきた溶液がとても硝酸塩が濃かったせいでしょうか(笑)、薄められたはずなのに250mg/ℓを越えていました。その他は基準値内だったのですが、デジタルメーターのpHは7.4で弱アルカリでした。
(テトラテストのpH数値とデジタルメーターの数値は一致しない傾向があり、テトラテストの方がいつも低めに出ます)
しばらくすると、魚が暴れだしました!
オイカワはちょっと人影が見えただけで大暴れ、ナマズも筒の中に隠れず水中を泳ぎまわります。
オイカワは臆病なので暴れて水槽に激突したりするので今回の玄関のシステムには向きませんでした。オイカワのきれいな魚体を鑑賞したかったのですが…。
翌日も相変わらずナマズは落ち着かず、水もなんだか少し白っぽくなってきたような…
そこで測定してみるとpH7.6。白っぽいということはアンモニアが発生しているということのようですが、残念ながらアンモニア測定の機器がなかったので調べようがありません。とりあえず水換えとpH調整剤を使用してpH6.5にまで下げました。
たしかにこの急激なpHの変化は生体には厳しかったと思います(反省)
しかしこれでナマズはいったん落ち着きました。ところが夜になってまたまたナマズが激しく泳ぎ回るので、これは水質がダメらしい…ということでナマズも外のジャンボックス(大型400ℓコンテナ)に戻しました。
測定してみるとまたもやpH7.5…。
魚が暴れ水質がすぐに弱アルカリになってしまう理由を考察
●まだシステム内に窒素循環に必要な微生物の数が充分に増えておらず、水温も高くないので活動が低く、アンモニアの分解能力が無いに等しかった
●棚の強度が心配で野菜ベッドの用土が少なく、微生物の繁殖場所が足りなかった
●ポンプが強めなので水流が強く、水槽に吐出される排水が水面より上からなのでエアレーションが強く、水中の二酸化炭素(CO2)が抜けやすくなりアルカリに傾き易い
→高pH(7.0以上)の環境下では魚にとってアンモニアは毒性が出るので苦しむ
↑これ、大事なことで、このときpHが低く弱酸性の環境ならばアンモニアはイオン化(アンモニウムイオン)し魚にとって毒性が低くなります。
しかし、そう都合よく手元にジャストなポンプがあるわけではありません。あまり小さなポンプだと下の水槽から上の野菜ベッドまで揚水力が足りずシステムが循環しないこともあります。
とりあえず出来る対策をしました。あまり二酸化炭素が抜けないように吐出パイプを水中まで伸ばしました。
また、魚もいないのでpH調整剤を積極的に使ってpHを6台(弱酸性)に保つようにしました。
4月17日 pH7.2
4月22日 pH7.8 →調整剤使用後 PH6.8
4月25日 pH6.9 暑くなってきたのでヒーター撤去
4月26日 pH6.7
4月28日 pH6.3
4月29日 pH6.2 ←だんだん弱酸性に安定してくる ホッ…
ちなみにpH調整剤とはこのようなものです↓(リン酸のようです)
システムのその後
と、以上のような水質の過程を経てきましたが、苗はそれなりに育っておりまして、めでたく26日には第一回目の収穫が出来ております。
収穫以降は陽気が急に涼しくなり、ヒーターを撤去してしまった事を後悔しておりますが、まあ魚を入れていなくとも順調に栽培は出来ております。
今回の新しいシステムはナマズ飼育前提のアクアポニックスの予定だったのですが、今のところ水耕栽培です。
そしてこの記事を書いていて気が付いたのですが、このシステム
ろ過フィルターが無い!
サイフォン式の間欠循環システムになってない!
野菜ベッドにたっぷりハイドロボールやゼオライトの用土を使用していないので魚のフンのろ過が出来ません。微生物の住処も確保出来ません。ただ溶液をポンプで循環させるだけなので、オートサイフォン式のように満杯と排出の繰り返しがなく、微生物や苗の根への酸素の供給は十分ではありません。
どうりで、アンモニアの分解が進まず魚が嫌がったわけです。
急いで造るとこのような失敗も起こります^^
誰が認知症や!
ということでシステムがこのような状況なのでしばらくは水耕栽培でやっていき、溶液などを工夫して野菜の育ちを向上させていきたいと思います。
ナマズくん、どっかで見た顔だと思ったら…(笑)
∈(~゚ _ ゚~)∋
現在、ナマズはジャンボックス池でオイカワ達と快適に暮らしております。
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甘かった!肉食ナマズの傍若無人にオイカワたち、疲弊中!
なんとかすべく対策中です。