EC(電気伝導度)とは?
右がデジタルECメーターです。左のpHメーターと使い方は同じで、付属のキャップまたはコップなどに測定したい溶液を入れ、各メーターの先端の電極部分を浸します。
(取り扱い説明書が記事の最後にあります)
野菜の種類による適正pH値の違い の記事で書いたように、EC値もpH値と同じように野菜を育てていく上で数値の意味を知っておくと管理がとても楽になります。測定した数値で野菜や水質の現状がわかり、基準(理想)値からのずれを把握して対策ができます。
まず、肥料溶液とは↓このような状態です。湿った土壌も同じです。
土壌や水溶液の中に※塩類が多くなれば電気がたくさん流れる性質があり、ECメーターを使用することで塩類=肥料が多いか、少ないかを判断する事が出来ます。
酸:水中で解離して水素イオンH+を生じる物質
塩基:水中で解離して水酸化イオンOH-を生じる物質 (アレリウス定義)
EC(電気伝導度)は、土壌中の水溶性塩類の総量を示し、塩類濃度の指標としてミリジーメンス(mS/cm)で表します。通常、硝酸態窒素含量との間に正の相関関係がみられるので、土壌中の硝酸態窒素含量の推定にも有効です。
(農林水産省 土壌pH・ECの診断より)
EC値と硝酸態窒素(NO3 ̄)含有量とは比例関係が強いので、EC値を知ることで硝酸態窒素含有量=肥料濃度を推定する事ができるという訳です。
アクアポニックスから見たEC値
アクアポニックスでは 魚のフンが栄養になる仕組み で解説しましたように、魚のフンが微生物の働きで最後に硝酸塩に変化し、それを植物が栄養として利用するわけですが、その硝酸塩は水中では硝酸イオンとして電解質(NO3 ̄)の状態で存在しています。ですので、ECメーターで測定することで、魚のフン(肥料)の量が十分あるか、少なすぎるか判断の目安になります。
EC値が高い=肥料濃度が高い=魚の数が多すぎる、または植えつけている植物が少ない
EC値が低い場合はその逆が考えられます。
また、アクアポニックスでの栽培はハウス栽培と同じで、露天栽培のような雨によって養分が流されてしまうということが無いのでECが高くなる傾向があり、野菜によっては生育に影響が出ます。なんと、野菜ごとに適正なEC値があるのです。
※ぼんちすとはお勉強しつつこのブログ記事を備忘録として書いております^^
野菜には種類によって適正なECがある
野菜は種類によって耐塩性(どの程度の濃度の塩類にまで耐えられるか)が違います。濃いめの溶液で生育がよい野菜、薄い濃度で生育が適している野菜と様々です。
参照するサイトによってEC値が様々、ということがあり実は困りました(笑)
養分濃度が高くなると、根が水分を吸収できなくなるなどの塩類濃度障害(肥やけ)を起こすことがあるので、野菜ごとの適正なEC値を知っておくことは大切です。
土壌中に硝酸態窒素が多いと、pHが低下して塩基成分が溶出しやすくなるため濃度障害を生じやすく、ECを高めすぎない管理が必要となります。また、ECが低すぎると土壌中の肥料成分が少なく、生育不良になります。
(農林水産省 土壌pH・ECの診断より)
ここで、EC値とpH値の関連が出てきました!
肥料の成分である窒素、リン酸、硫酸などの酸性質のもの、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ性質のものなどの溶液中の成分バランスによってpHが変わってきます。
EC値とpH値の関連
ECとpHには上の図のような関連が推測できます。
適正範囲は pH5.5~7.0 EC0.4~1.0 とあります。
EC値は土壌中の硝酸態窒素量との相関が高く、施肥の目安となります。ECが低ければ作物の吸収量に合わせて基準量の肥料を施し、高ければ施肥量を減らすか、場合によっては※除塩対策が必要になります
農林水産省 ntuti16.pdfより
※濃度が高くなってしまった畑などから塩類(余分な肥料)を取り除くため、深く耕したり特定の作物を栽培させ生育したものを畑から刈り取るなどして濃度を下げる対策を施すこと
農水省の適正範囲は畑やハウスでの栽培に向けてのもので、アクアポニックスの場合はpHの数値がもっと狭くなります。あくまでも魚あってのアクアポニックス栽培ですから、まず魚のベストな環境を第一に考えてあげたいものです。
EC、pHメーターで数値を常に把握しておけば、大きな失敗をせず管理が楽になりますね。
pHの異常で魚たちを死なせてしまうことほどショックなことはないので、目視による野菜や魚の観察の他に、測定機器類を駆使することで安定した管理運営(会社かよ)が継続できます。
デジタルペーハー、ECメーターの取り扱い説明書です。いろいろな種類があります。ご参考に。
デジタルペーハーメーターの取説
デジタルECメーター
参照 Wikipedia 水素イオン指数
イオン
酸と塩基
塩